薩摩半島の南端に位置する枕崎市は,北部が蔵多山など山地に囲まれ,東西側は山裾に台地が広がり茶や花卉類などの農業地帯となり,南側海岸線は枕崎漁港を中心にカツオ漁と鰹節のまちとして全国に知られている。平均気温約18度と温暖なすごしやすい気候で,東シナ海を望む景色は三島,屋久島などの島や薩摩富士(開聞岳)と一体となり,南九州でも随一の大パノラマが広がる。
主な特産品は、かつお節,かつお料理,焼酎(さつま白波),黒豚(鹿籠豚),電照菊,お茶,みかん(タンカン)などで、観光スポットとしては、明治蔵,南溟館,火の神公園,お魚センター,かつお公社,南薩地域地場産業振興センターがあげられる。
平成12 年より枕崎市漁協、(株)枕崎市かつお公社及び(財)南薩地域地場産業振興センターは、特産品であるかつおの販売促進及び消費拡大を図るため、ホームページ上でかつお凍結品やかつお節など、かつお製品のインターネット販売を行い、全国各地の消費者や外食産業、販売業者などから幅広く利用されている。個々の生活環境が多様化する中で、各自の都合に合わせた選択や購入が可能なネット販売の導入は、タイムリーな産地情報や調理方法などの各種情報の閲覧が容易なことに加え、産地直送という新鮮さ・安心感から、県内外の新規購入者及びリピーターの拡大、確保に繋がっている。
販売商品数についても、かつお凍結品の重量別設定や、各種かつお製品の金額別セット、季節ごとのイベント等に対応した贈答用セットなど、従来の50 品から280 〜 290 品へ販売規格を細分化しており、多様なニーズに対応可能としている。
平成22年度には、愛媛大学の若林良和教授をアドバイザーとして、かつおのまちにふさわしい「かつおマイスター制度」の創設を検討中である。子ども達の体験学習においても、一定の体験を終えた子どもに、「子供職人認定証」の称号を与えることを検討している。
取組の特徴 | ・カツオの町の歴史と食文化をベースに、認証制度「かつおマイスター」を設置予定。 ・地元子ども達への体験に加え、修学旅行の受入などにも力を入れ、本枯節の品質へのこだわりなど、本物志向の漁村活性化、ブランド化を推進している。 |
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地区の課題 | ・カツオ産業の生産地間競争 ・水産業、観光業の衰退 |
背景・経緯 ・地域の背景、取組経緯 |
・本物化、高品質化への特価戦略、ブランド化 |
効果 ・地域への効果 |
・地元の子ども達へのカツオ産業の認知=ふるさとの誇りの伝承 ・地元関連産業従事者への普及啓発 |
成功要因の評価 | |
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体制・組織 ・取組体制、組織づくり、 ・自由・活発な議論 |
・市、漁業協同組合、NPOが中心になり、体験者への認定制度を制定、賞状授与の仕組みを作った。 |
援体制 ・行政による支援 ・中間支援組織の存在 |
・認定制度については、行政が全面的に支援 ・NPOエコ・リンク・アソシエーションが中間支援組織として機能している。 |
人
・リーダーの存在 ・事務能力、IT技術 ・人材育成への取組 ・外部人材の活用 |
・中間支援を行うNPOと、学識経験者(愛媛大、若林教授)が提唱 |
計画(ビジョン・戦略)の的確性 ・効果の評価、共有 ・既存ストックの有効活用 |
・本物かは、規模の競合とは異なるステージへのシフトとして、地域資源(技術)を活用する方向。 |
マスコミ・メディアの活用 ・マスコミへの情報発信 ・WEB・Blog等の活用 |
・今後開始する事業であるが、マスコミの活用は有効。 |
課題の克服 ・課題への対応、工夫 ・阻害要因排除への取組 |
・地域間競争への対応。 ・本物志向を標榜することで、漁協、漁師、加工業者等関係者の意識を啓蒙し、地域ブランド化を目指す。 |