各種取組の紹介

子ども達の漁村への受入れ事例

宮城県気仙沼市大島地区
「自然の学び舎 島の学校」気仙沼大島観光協会

■受入実績
  • 平成11年に現在活動中のコーディネーターの提案が発端となり民間主導で体験観光「島の学校」を開始。地域の将来への危機感をバネに活動内容の向上と拡大を伴い継続している。
  • 平成18(2007)年の受入実績年間利用数33校、3900人。
■背景・経緯
  • 大島地区の人口は4000人弱で減少傾向。65歳以上人口が約30%と高く高齢化が急速に進行している。
  • 大島地区の主要産業は、水産業や民宿経営等観光業。
  • 漁業は、大型漁船(海外カツオ・マグロ船)、沿岸漁業、海面養殖(カキ類、ワカメ=漁業生産高の9割を占める)だが、近年すいたい傾向が目立つ。
  • 民宿系毛糸も将来の展望が描きにくい状況が危機感を生み、両者を結び付ける新たな事業として体験観光、年漁村交流事業を開始した。
■体制・地域連携
  • 民間主導が特徴。
  • 民宿、観光協会が中心となってきたが、それに加え平成17年には環境事業を中核とするNPO「大島大好き!」が立ち上がった。
■取組による漁村への効果
  • 養殖や沿岸漁業のノウハウや民宿で培ってきたホスピタリティなどがうまく体験館工に活用できたため、体験観校の訪問客の受入もスムースで、地域に浸透。経済効果に加え、島のコミュニティにも良い影響(地域コミュニティの活性化、高齢者の生きがいづくり)をもたらしている。
■特徴・実施のポイント
  • 島の既存資源やノウハウをうまく活用した21種類の多彩なプログラム
■安全・衛生管理、マニュアル
  • 病気・けがなど緊急時の対応も、島内の診療所との連携体制を整備。
  • 救急艇による市内の病院への搬送体制も万全。
■今後のビジョン
  • これまでの成功を踏まえ、環境学習を機軸にした活動をNPO「大島だいすき!」を中核にして展開し、より高いレベルの活動を目指している。
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三重県鳥羽市答志島地域
「漁師のかみさん目線の体験プログラム」島の旅社推進協議会

■受入実績
  • H20年度に開始。小学校を2校・130人受入れ。
  • 学校以外でも路地裏ツアー400人、海女小屋体験240人など全部で600人を受け入れた。
  • 今年度も県内の小学校などを受入れ。
    ※鳥羽市教育委員会(鳥羽市立と場小学校)、津市立太郎生小学校
■背景・経緯
  • 答志島は、もともと体験民宿の島としては老舗の実績を持つ(民宿・旅館が島内に23軒)。
  • H13に鳥羽市内に離島振興事業のワークンググループができ、鳥羽の観光衰退に対応し体験学習による島内活性化を検討。
  • H13から市が地域資源調査(地質、生活文化、海洋等)を実施。結果をベースにH16に “漁師のおかみさんができる活性化”事業をコンセプトに島の旅社を設立。
  • H18から体験観光客の受入れを始め、H20からは子ども農山漁村体験受入モデル地区に指定され、本格受入を開始。
■体制・地域連携
  • 答志島は、伊勢志摩広域でも漁業が盛んな地域。漁師や民宿の事業と競合や邪魔をしない形で、島の主婦ができる事業をプログラム化。
  • スタッフは現在5人。専従はおらず、家(漁師)の仕事を手伝いながら、空いた時間を活動にあてている。
■取組による漁村への効果
  • メディアへの露出も増え、島の人協力もみられるようになってきた。
  • 子ども農山漁村体験の受入をきっかけに、定期船の利用者も増えているのではないと考えている。
■特徴・実施のポイント
  • 市が地域資源について綿密に調べた調査結果の蓄積が、プログラム開発に大きく役立っている。
  • 大阪から島に嫁に来たリーダー山本さんの行動力が事業実現に大きく影響した。
  • 離島でもあり、広域連携の予定はない。
■安全・衛生管理、マニュアル
  • 市や県と相談しながら、マニュアルを作成。
  • 安全・衛生管理には、スタッフが研修を受けに行くなど独自で体制やマニュアルを整備した。
  • 子ども対象のプログラムは特に気を配っている。
■今後のビジョン
  • 目的は島の活性化。現在の規模から無理をせず、島の人の匠の技を伝えるプログラムを大事にしていきたい。島の達人を巻き込んで、当たり前に伝えていける組織づくりをしたい。
  • 現在未活用のまま捨てられている水産資源(規格外の魚、加工のアラなど)を活用した商品開発を行いたい。
  • 長期プログラムは名古屋の東海農政局からも話があったが、学校側の対応が大変だろう。島でも2泊3日が対応の限界。
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長崎県北松浦地域(視察箇所:青島地区)
「ほんなもん体験」まつうら党交流公社

■受入実績
  • H7より体験観光を模索、H13に体験型旅行の体制を整え、H15より受入を開始。
  • 北松浦半島全域で累積4万5千人の中高生を全国から受け入れている(平成21年7月現在)。
■背景・経緯
  • 体験型観光の体制整備にあたり、千葉に事務所を持つ「体験教育企画」の藤沢安良氏のアドバイスを受け、「ほんなもの体験」として北松浦の各地区の広域ネットワークを構築。
  • 海の体験フィールドとして、青島などの松浦湾の離島もネットワークに参加。
  • 特に青島はH15に最初の子ども受入(高校生)を実施した地区で、リーダーの山下氏が初期から参加。高齢化して衰退傾向であった青島地区の漁村活性化に大きく寄与している。
■体制・地域連携
  • NPO法人まつうら党交流公社(スタッフ10名)が中核組織となり、北松浦半島広域の各地区の振興会をとりまとめている。NPOの役割は、エージェントとの営業窓口、学校との受入窓口、活動の実務的支援(安全・衛生管理の支援、人材育成など)、WEBやパンフ作成など情報発信を行っている
■取組による漁村への効果
  • 漁業体験を行っているのは青島(民泊23軒、H20年2130人/人日受入)、鷹島などだが、7年の実績があり、地域においても定着している。
  • 地域のお年寄りが明るく元気になったと感じている。お小遣いで、仲間で温泉などにも出かけるようになった。
  • みられることを意識して、漁港付近の清掃を自主的に行うなど、地域の誇りを取り戻したようにも感じる。
  • 民泊で4700円/人泊、体験で1500円/人の謝礼が支払われるため、経済効果も大きい。多い民泊で60〜70人/年を受入、年金以上の収入がある家もある。
■特徴・実施のポイント
  • 離島、半島が多い地域性を活かした多彩なプログラム開発が特徴。海のプログラムは田の地域に比べても豊富である。
  • 漁師ご飯が一番人気。民泊の食事も、海女さんの家はサザエのメニュー、エビ漁師の家はエビ天など、行化の特長を活かして自由なメニューにしてもらっている。メニューの差で学校側からクレームは出ない。
  • 長崎の平和教育とセットで修学旅行(関西、広島)を受入れ。
■安全・衛生管理、マニュアル
  • 安全・衛生管理には最初から万全の体制をとっており、NPOからマニュアル等を地区に配布し、協議会と連携を図っている。
  • シーズンが終わった後、安全・衛生講習を必ず実施するとともに、反省会と称して料理の講習会などを実施し、スキルアップを図っている。
■今後のビジョン
  • 地域としての受入人数の上限に達したと感じている。
  • 都会の受入に慣れっこになって、何となく流してしまうなど質の低下につながる対応にならないようにすることが課題。
  • 養殖などの専業漁師の家では、生活の中に入って仕事を手伝うことは可能であるが、1週間の長期の体験を1地域でじっしするのは難しい。
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長崎県小値賀町
「島の生活と無人島での体験学習」NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会

■受入実績
  • 海の自然体験や漁業体験を中心に実施するNPO法人おぢかアイランドツーリズム協会が平成19年度より体験旅行の受入を開始。
  • 平成20年度に子ども農山漁村交流プロジェクトの先導的受入地域に指定され、小値賀町長期宿泊体験推進協議会で6校を受け入れた。平成21年度は5校を受入。
■背景・経緯
  • 漁業は、古くは捕鯨で栄えた歴史を持ち、現在は一本釣り、刺網、アワビ・サザエ・海藻等の磯根漁業が中心となっているが、磯焼け等が問題となっている。水揚げ金額は11億円程度で10年前の半分程度となっており、漁業者数も300人を切り減少傾向にある。
  • 平成10年度に、環境省と総務省が行った「自然体験型環境学習拠点、ふるさと自然塾事業」に採択され、野崎島の野生鹿の研究・観察の場として、廃校となった校舎を活用した自然学塾村を核とする「ながさき島の自然学校」を開校した。事業終了後も継続活動を決意した町は、役場職員や地元住民をボランティアスタッフとして自営活動を開始し、現在の体験観校の基礎となっている。
■体制・地域連携
  • 自然学塾村の活動が体験観光の中核を担う。
  • 都市漁村交流の受入は、NPO法人を中心に小値賀町長期宿泊体験推進協議会を中心に実施。
■取組による漁村への効果
  • 離島のハンデを考えると、体験観光による集客効果は、島の活性化に大きく寄与している。
  • 無人島となった野崎島の廃校の活用など、既存資源を活用するとともに、島の歴史や生活を活用しながら保存し、伝えていくことができる。
  • リピーターも多く定着しており、民泊や船賃など、島への経済効果も大きい。
■特徴・実施のポイント
  • 自然学塾村が行う「ながさき島の自然学校」は、以下の4点を目的としている。
     ①町民・島民全員が参画する持続性のある自然学校
     ②地域の資源を再発見しこれを活かした環境づくりや環境教育の場
     ③都市交流による滞在型体験自然学校
     ④生き生きとした活力ある島文化共和国の創生
  • 活動は3つのセクションから構成されている。各セクションに地元住民スタッフが教授として登録し、ボランティアで実践活動を支えている。
     1)芸術学部セクション(おぢか国際音楽祭の開催)
     2)生活文化学部セクション(自然学校の会報発行、和みの島ツアー、調査等)
     3)自然環境学部セクション(野崎島エコツアー、子ども自然王国(キャンプ)等)
  • その他、人材育成事業として自然公園指導者育成講座の開催、野崎島の野生鹿調査(鹿センサス)等、幅広い事業を展開。
  • また無人島体験と島の民泊を組み合わせることで、プログラムに厚みと多様性が出る。
■安全・衛生管理、マニュアル
  • 各組織が連携して、安全対策・衛生管理の講習会開催・参加などに勤めている。
■今後のビジョン
  • “小さな離島の未来への挑戦”はまだまだ始まったばかり。「そのまんま」を大切に、あらゆる人々、団体にも「小値賀島のコンシェルジュ」であり続けルことが目標。
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