活力ある漁村づくり研修会・シンポジウム

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H22年度第1回地域リーダー育成研修会

(1)開催趣旨・プログラムの検討
【開催趣旨】
活力ある漁村づくりにおいて中核的な役割を担う人材として、「地域で産業をつくる人」の重要性を考える。例えば、水産物の新たな販路を開拓し、流通の仕組みを変えることで地域の利益につなげる事業や、地域の一次産業と観光産業の連携をコーディネートし地域一体での新たな観光・体験事業を立ち上げる事業、地域独自の漁獲の魅力や効能を活用して新たな特産物を作り出す事業など、全国各地で新たな産業創出が見られている。「地域リーダー」、「地域で産業をつくる人材」は簡単に育成できるようなものではないが、本事業における研修会は、地域での産業創出について考えるきっかけを与えるもの、地域で取組を実践する方々にはより魅力のある産業、地域の活力創出に資する事業とするためのヒントを与えるものとした。
【地域リーダーに必要な知識・力】
●漁村活性化に資する専門的知識や技能
●地域の課題や活性化に向けたアイデアなどを発想する力
●アイデアを地域で実現・実践する力
【カリキュラムと学ぶべき内容】
●実践者からの事例紹介
  • 実践した内容からアイデア・発想のプロセスを学ぶ
  • 地域の状況に応じた取組のねらいとすすめ方、実施の体制やその成果などについての具体的な内容を学ぶ
  • 実践者との意見交換により自身の取組について考える
●有識者の講義
  • 水産物のブランド化、水産物の新たな流通・販売の方法、都市漁村交流など漁村活性化の取組についての考え方、手法について全国的な取組事例を学ぶ
  • 実施にあたっての戦略(ターゲット、人材活用計画、資源活用計画、情報発信・プロモーション計画、資金確保計画等)、経済効果など具体・専門的な内容について学ぶ
●参加者の意見交換
  • 全国で漁村の活力づくりに取り組む方同士の意見交換により地域の課題を共有する
  • 課題の解決や事業の展開についてのアドバイスを得る
  • 地域同士のネットワークをつくる
●現場での実践から考える
  • 実践する現場から、より具体的なノウハウを学ぶ
  • 具体的な課題、その解決について現場での意見交換を通じて学ぶ
  • 自身の取組地域と相対化し、改善点や活かすべき特長について考える
【研修会プログラム】
以上の考え方のもとで、本年度は千葉県南房総市岩井地区での研修会を開催した。
千葉県房総半島の南部、東京湾の入り口に程近い南房総市岩井地区は都市近郊の都心に程近い立地と、豊かな海と山に恵まれた自然環境を理由に漁業や農業に加え、都心の避暑地として観光業も盛んに行なわれてきた地域である。観光客の減少により一度は地域産業が衰退期を迎えたものの、平成16年の富津館山道路開通に併せて、道路に隣接された地域振興施設「道の駅 富楽里とみやま ハイウェイオアシス富楽里」を平成15年に開設した。高速道路と一般道の双方から利用できるサービスエリアと新鮮な地場産物の取扱う地元の漁業者・農業者直営店による新たな連携は多くの利用者に人気を博し、南房総観光の中継点として、また、岩井地区周辺の民宿では、地元漁業者・観光協会と連携し、各民宿が独自の水産体験プログラムを開発するなどの修学旅行や合宿の積極的に受け入れなどにも取り組んでおり、漁業を中心とした地域連携を実践する都心近郊の農山漁村地域の事例として注目を集めている。

(プログラム)
●視察・ヒアリング(道の駅・富楽里とみやまハイウェイオアシス富楽里)
●講義①(道の駅富楽里とみやまの事業取組と地域活性化について)
  • 富楽里黒川支配人 岩井漁協組合長 岩井民宿組合長
●講義②(商品開発、ブランドづくり、流通と地域活性化)
  • 有識者より※1回目、2回目で講師は別
●意見交換会(漁業漁村の活性化に向けた取組と課題)
  • 商品開発、ブランドづくり、流通・販売について
  • 都市漁村交流と地域活性化、漁業体験プログラムについて
●野外演習
  • 定置網漁体験コース【岩井漁業協同組合】
  • 海の自然体験コース【NPO法人たてやま・海辺の鑑定団】
●講義③(多様な主体の連携による海辺の地域資源の活用)
  • NPO法人たてやま・海辺の鑑定団 理事長 竹内 聖一 氏
(2)第1回地域リーダー育成研修会 
日時:平成22年11月13日13:30〜14日14:00
場所:千葉県南房総市
参加者数:22名
講師:受田委員
1日目
13:30 道の駅・富楽里とみやまハイウェイオアシス富楽里 集合
 視察・ヒアリング 【富楽里とみやま 担当】
14:15 バス移動 富山公民館へ
14:30 地域リーダー育成研修会 開催
1)開会のあいさつ【水産庁】
2)研修会オリエンテーション【事務局】
3)講義① 〜道の駅富楽里とみやまの事業取組と地域活性化〜
富楽里黒川支配人 岩井漁協組合長 岩井民宿組合長
南房総市岩井地区の漁協、民宿組合、道の駅富楽里とみやまの各代表者による取組内容の紹介
15:30 4)講義② 〜商品開発、ブランドづくり、流通と地域活性化〜
【第1回】
「水産資源のブランドづくりについて考える」
講師:高知大学 副学長 受田浩之氏
今後の経済市場の動向や消費のトレンドを踏まえて、主に地域の「食」について科学的な根拠に基づくブランド化の手法など、明快なご説明をいただき、聴講者にとっても非常に興味深い内容となりました。
16:30 5)意見交換会 〜漁業漁村の活性化に向けた取組と課題〜
参加者を二つのテーブルA、Bに分け、テーブルAでは「体験観光と協力体制づくり」について、テーブルBでは「地域力の向上と産業連携」について、自由に意見交換を行なった。
6)総括
取組を進める人材やリーダーのあり方、健全な漁協経営や漁業者以外との連携など地域それぞれに抱える問題を共有し、解決策へのアプローチについてとりまとめ、発表を行いました。
19:00 終了
2日目
7:30 朝食
8:50 澤金 出発
野外演習
岩井漁協の「干物作り体験」と「定置網漁体験」コースと、館山湾に浮かぶ「沖ノ島探検ツアー」コースに分かれ、現場を見ながら体験指導者の安全管理やコミュニケーション能力などの重要性について認識を深めました。

<A>定置網漁体験コース【岩井漁業協同組合】
<B>海の自然体験コース【NPO法人たてやま・海辺の鑑定団】
11:45 野外演習 報告・共有  (各5分)
12:00 2)講義③ 〜多様な主体の連携による海辺の地域資源の活用〜
 「多様な主体の連携による海辺の地域資源の活用」
講師:NPO法人たてやま・海辺の鑑定団 理事長 竹内 聖一 氏
NPO法人たてやま海辺の鑑定団竹内氏からの講義をいただき、午前中に行った野外演習の内容をふまえ、地域にある魅力の伝え方など、参加者とも活発な議論を交わしていただきました。
13:00 アンケート記入
地域リーダー育成研修会 修了     バス移動 解散(富楽里へ)
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